
今さっきのことなんですが、調べものをしにQ&A掲示板を検索していたら、「旅先で物乞いにお金を渡したことはありますか?」というアンケートに出会いました。
読んでみてびっくり。ほぼ全員が物乞いにお金をあげるのに否定的で、お金をあげるのがさも悪い行為のように書いてあるのです。その後ネット検索して個人ブログなども見てみましたが、9割の日本人がお金をあげることに否定的なのです。
例えば・・・
「物乞いのプロもいて、自己責任でやっているので可愛そうに思いません。」
「彼らが本当にお金を恵むべき相手なのかわからないから、あげたことがありません。有意義に使ってくれそうなユニセフや赤十字に寄付しています。」
「物乞いには与えるな、 楽してお金を貰える事に慣れさせるなということが世界で広く言われている訳です!」
などと完全に否定的な意見や、お金をあげた経験のある人でも
「しつこいので渡してしまいました」
といった、お金を上げることが悪いかのような印象をもっているようです。
よく物乞いに否定的な根拠として
「裏にマフィアのような組織があり、実際得たお金は吸い上げられる」
「自らの体を切断し、不自由な体を露にしてお金を稼いでいる」
「物乞いを禁止している国や地区があり不法行為」
などと言われます。また、
「物乞いにお金を与えることは、楽にお金を稼げる方法を与え、子どもの自立や社会復帰の妨げになる」
などとも言います。
でも僕には全てが単なる言い訳に思えてしまいます。
イタリアにはロム(ジプシー)の人たちがたくさんいて、頭を地面にすりつけて物乞いをしている人たちも多く見かけます。首に「お腹が空いています。子どもたちに食べ物を買わせて下さい」と書かれた段ボールを下げてたたずんでいる人もいます。その状況を目の当たりにしてなんで「彼らの社会復帰のためにお金を上げるのは止めよう」と言えるのだろう?
町を歩いていて紙コップを片手にした人が1ユーロくれと言ってきて胸が痛まない人間がいるのだろうか?痛む素直な気持ちに理由なんて必要ないと思う・・・。僕は日本人が、特に若い世代が(僕を含めて)、なんだか合理的になりすぎているような気がします。足を自ら切り落として生活手段の選択をした人に「自業自得だ」と思う心はすっかり病んでいると思うのです。
実際に彼らにお金をあげるのは勇気のいる行為だし、外国語がわからない場合は怖い場合もあります。夜道1人で歩いていて後ろから声をかけられたら逃げ出したくなるのも普通です。
僕ももちろん道で見かける度にあげるわけではないですし、あげる回数なんて数える程です。でもただ素直に「可愛そう」とか「助けたい」といった気持ちを持つことは、彼らを少しでも助けることになると信じていますし、自分に偽りなく生きる上で大切な気がします。
最後に・・・
僕の友達はロムの人のための仕事を支援するお手伝いをしたことがあるそうです。その支援会の発表の場で、一人のロムの女性がこう言ったそうです。
「私は今、仕事を得ました。自分が物乞いをしていたのを今、恥ずかしく思います。」